こんにちは、カイトです。
今回は、Netflixで観た映画、『Annihilation』がかなり度肝を抜く、衝撃作品だったので紹介していきたいと思います。
今年(2022年)はすでに100本近い映画を観ていますが、今年、僕が観た中で総合的に評価してTOP3に入るんじゃないかというくらいには興奮した映画です。
映画の紹介。
この映画は、2018年に公開されたSF映画です。
2014年に刊行された小説『Annihilation(邦題:全滅領域)』が原作で、監督と脚本をアレックス・ガーランドが、主演をナタリー・ポートマンが務めました。
アメリカの海岸領域に拡大する“エリアX”。ここに足を踏み入れた調査隊が行方不明となるが、生物学者・レナの夫だけが辛くも帰還し昏睡状態となる。夫の身に何が起きたのか。レナは調査隊に志願し現地に赴くが、そこには想像を絶する光景が広がっていた。
U-NEXTのあらすじより引用。
僕はこの映画をアレックス・ガーランド監督経由で知りました。
2022年12月9日公開予定の『MEN』という映画がもともと、すごく気になっていたんですよね。
そこでこの映画を調べていた時に、ガーランド監督のことを知り、この映画にたどり着いた感じです。
まだ観ていない人へ。ネタバレなしで感想を書いていく。
この映画でとにかく圧巻だったのは、ラスト30分ほどです。
もちろんデストピア映画ですから、始めから様子がおかしいわけですが、ここからラストにかけての展開が圧巻です。
今まで構築されてきた、前提と言うか、この映画のスタート地点から裏切られた感じになります。
おお、マジか……。そういうことだったのか。
僕はこの映画の終盤で、思わずこう心の中でつぶやいてしまいました。
それくらい、ラスト(というよりは終盤)への期待値は上げてもらっても大丈夫です。
きっと観た人はみんな驚くはずです。
またこの映画のいい点としては、視聴者を置いていかない程度に複雑なストーリーである点だと思います。
今回のような、ある意味で非現実的、デストピア作品ってストーリーが複雑すぎて、わけがわからないなんてことがあると思います。
僕自身、映画を観て全く意味が分からないがゆえに、その映画への評価が下がっている作品もあります。
こういう作品は、考察の余地があるからこそ面白んだろうけど、あまりに難しいと考察すらできません。
ただ、『Annihilation』の場合は、自分でストーリーを追いながら、“どうしてなんだろう”とか“そういうことか”という感じで複雑すぎず、観終わったで7-8割くらいは腑に落ちるんですよね。
あくまで、僕の場合は、ですが……
それで、残り2-3割くらい、映画の中で象徴的なシーンとか伏線で、あれは何だろう……という感じで、観終わった後も余韻に浸りながら、考察の余地も与えてくれます。
この、絶妙なストーリーの難易度が自分の解釈具合にぴったりで非常に良かったです。
ただ、ストーリーの構成上、時間軸がぐちゃぐちゃになるかもしれないので、今どこのシーンだろうと意識してみることをおススメします。
そしてこの映画は結構グロテスクなシーンもあります。
苦手な方は閲覧を控えたほうがいいかもしれません。
ネタバレ注意。踏み込んだ感想を。これをせずにはいられないくらいに感動した。
ここからは、内容に踏み込んだ感想です。ネタバレ注意です。
もうストレートに言っちゃいます。
物語終盤、Lighthouseにようやく到着し灯台に入り、目の前にビデオカメラがあったとき、興奮やばくなかったですか⁉
このビデオカメラには何が収められているのだろう?
そう、思ったはずです。
これがまた、エリアXでの過去を収めた、2本目のビデオってのがより興奮させてくれますよね。
1本目の、主人公の夫が胴体を切り取るシーンがまあまあ衝撃ですしたからね。
その映像や、ここに生息している化け物たちの秘密がこのビデオに隠されているのかななんてワクワクしたはずです。
ビデオを再生すると、なんと夫が焼身しているじゃないですか。
そして、なんとビデオの裏から夫のドッペルゲンガーが出てくる。
ここでビデオを止めたとき、何となく次に起こることは想像つきましたね。
どう切り抜けるのかまでは想像がつきませんでしたが……!
今までの点と点が繋がる感じ。
それを踏まえて物語冒頭、夫が帰還してきたシーンを想像すると鳥肌が立ちました。
この映画の最後に夫が何者なのか、問うた後に抱擁するシーン。
このときの夫の目の動きが不気味でしたよね。やっぱり彼はエイリアンなんでしょうか?
DNAレベルではクローン化できても感情は持っているのでしょうか?
興味深い終わり方でしたね。
とここまでは表面的な感想。
ここからはいろいろな考察記事や動画を観ていきます。
※参考記事・動画↓
https://collider.com/annihilation-movie-explained/
ここで衝撃だったのが、夫は妻の不倫をわかっていて命がけのミッションに参加していたということ。
5人の女性はそれぞれ、失ったものや苦労があり、それぞれ命がけのミッションをする覚悟と言うか、動機はあります。
じゃあ逆になんで、幸せな結婚生活を送っているはずの夫(Kane)はこのミッションに参加したのか。
その理由として、夫は妻の不倫を知っていたのではないかという考察。
そういわれると象徴的なシーンはいくつもありましたし、納得してしまいます。
そしてこのエリアXとはどういう空間なのか。
なぜ突然変異体のようなものがいるのか。
これは映画でDr.Ventressが少し言及していたみたいですが、
このエリアXと現実世界を分ける境界線である、shimmer(ちらちら光る、曖昧なもの)が現実世界をreflectionしているのではないかという考え。
だから表面的には人間っぽくても、中身は蛇のようなものが渦巻く人間を作り出したり、おかしなDNAの組み合わせを作り出したり(ただ、ベースは現実世界に存在するもの。)、していたのではないでしょうか。
Dr.Ventressも“ここにきて、指紋が変化している”と言っていました。
また、これは1つ目の考察動画で触れていましたが、このエリアXでは思想や考えまでもreflectionしてしまうのではないかという考察、と言うか事実(?)
実際、彼女らが謎のクマのような化け物に襲われた場所って、Lenaたちの家みたいでしたよね。
そう考えるとこの考えにも非常に納得がいきます。
そして、エリアXから帰ってきた、Laneはcreatされてはいないが、changeしたと言うんです。
その象徴ともいえるのが、腕に描かれた蛇のタトゥー。
タトゥーに関しては以下の記事が大変興味深い考察をしています。
The tattoo in Annihilation seems to be a mark of the Shimmer. The team determines that the Shimmer is refracting DNA, combining all living things and changing them simultaneously. Maybe someone in the Shimmer had it, and now the tattoo is being refracted onto other people, or it's a mark of the entity itself. When Anya looks down at her hands late in the film, she says she can see her fingerprints moving. Her skin is changing, her DNA altering, all because of the Shimmer. That scene is the first clear shot of Anya's tattoo, which was missing earlier in the film, as seen in the photo below.
https://www.bustle.com/p/what-does-the-tattoo-in-annihilation-mean-natalie-portmans-ink-is-as-mysterious-as-the-movie-8286956#:~:text=The%20tattoo%20in%20Annihilation%20seems,mark%20of%20the%20entity%20itself. より一部引用①
The symbol itself, a snake twisted into the infinity symbol eating its own tail, is known as an ourobos, and has had many different meanings over centuries. In medieval times, according to SymbolDictionary.net, the ourobos represented "continuous renewal," life bleeding into death, and a coming together of opposites. The symbol, then, represents what Lena discovers about the Shimmer when she notes that the plant life and animal life in it is "stuck in a continuous mutation." The ourobos is also believed to be linked to early observations of the Milky Way, which means the tattoo could be hinting at the extra terrestrial nature of the Shimmer in Annihilation.
https://www.bustle.com/p/what-does-the-tattoo-in-annihilation-mean-natalie-portmans-ink-is-as-mysterious-as-the-movie-8286956#:~:text=The%20tattoo%20in%20Annihilation%20seems,mark%20of%20the%20entity%20itself. より一部引用②
Finally, the ourobos signifies self destruction — a snake eating itself — which is another major theme of Annihilation. In one particularly telling scene, Dr. Ventress (Jennifer Jason Leigh) tells Lena, "Almost none of us commit suicide. Almost all of us self destruct."
https://www.bustle.com/p/what-does-the-tattoo-in-annihilation-mean-natalie-portmans-ink-is-as-mysterious-as-the-movie-8286956#:~:text=The%20tattoo%20in%20Annihilation%20seems,mark%20of%20the%20entity%20itself. より一部引用③
このタトゥーはエリアXに入る前にはなかったというんですよね。
Laneがこのエリアに入ったことでできたもので、いわばshimmerの象徴であるといいます。
このタトゥーである、蛇が自分のしっぽを噛んで円を描いているモチーフ(ouroborosというらしいです。)も、中世のcontinuous renewal(終わりなき更新、永遠のアップデート)を意味しているみたいで非常に暗示的です。
まとめ
ここまでいろいろと考察を見てきましたが、こういう妙なリアル感を残すSF映画って本当に観終わった後に不思議な感覚を与えてくれますよね。
この映画で起こった突然変異も一見非現実的に見えますが、僕たちの見えないところでもう起こっているかもしれません。
個人的にはかなり高評価のこの映画。
来月公開の『MEN』を観に行くのが本当に楽しみになってきました。
2022/11/9