こんにちは、カイトです。
今回は、新海誠監督の最新作、『すずめの戸締り』を観てきたのでその感想をネタバレなしで紹介したいと思います。
やはり、作画が良い。
僕が観た、新海誠監督の作品は『君の名は』『天気の子』に続いて、三作品ですがどれも作画がきれいだなと改めて感じました。
冒頭のヒロインの鈴芽が自転車で坂を駆け降りるシーン。そのシーンでの海を臨む、美しい港町の風景から作画の美しさを感じました。
新海監督の作品の作り出す作品ではいつも美しい理想的な田舎の描写とダイナミックで現実的な東京の描写のコントラストがいつも印象的です。
逆に言えば、新海監督の描く田舎の景色は美しすぎるんですよね。
日本の田舎と言えばこれ‼と日本人が思い浮かべてしまうような美しさが全て詰まっている感じがします。
美しすぎるからこそ、懐かしさやそこに住む人々への憧れのようなものを感じるんですが、どこか現実離れした感じを抱きます。
あまりに美しく描きすぎて、現実離れしているのでしょうか。
一方で、新海監督の描く東京の街はすごく現実的なイメージです。
『君の名は』『天気の子』『すずめの戸締り』のどの映画も東京でのシーンが結構しっかり描かれていますが、どの映画でも人々の喧騒や人間関係の希薄さが出てきます。
また東京が、一部の若者にとって憧憬の対象になっているのも印象的です。(特に『君の名は』『天気の子』ではヒロインの東京に対する憧れのイメージが強かった気がします。)
監督自身も東京に対する思い入れ、憧れのようなものが大きいのでしょうか。
また『すずめの戸締り』では、様々な街が登場します。
四国や関西、東北も出てきて、新海監督の描く様々な街が出てくるので、非常に観ていて面白かったです。
なかなか切り込んだテーマ。
今回の映画は震災をテーマにした映画になっています。
そして実際に東日本大震災を題材にしている部分もあります。
このなかなか切り込んだテーマが少々物議をよんだようで、Twitterでは映画を観終わった人で“震災を思い出させてすごくトラウマだった”等の意見も目にしていました。
実際にこの前情報ありで観に言った僕ですが、観に行って思いました。
この映画に出てくる震災のシーン、結構心に来ます。
この映画では何度も緊急地震警報のサイレンが鳴りますが、このサイレンを聞くたびにすごく鳥肌が立ったというか、なんか普通に怖かったです。
この感情を具体的に言語化するのは難しい……
この映画自体はもちろん震災をネガティブにとらえるものでもないし、僕は震災の悲しみを乗り越えよう、忘れることは決してないけど、その思いを胸に閉じ込めて前を向いて新しい未来を切り開こう的なメッセージを受け取りました。
ただこれを震災によって心に何かしら“キズ”を負った人がどうとらえるかはわかりません。
なんかここら辺を考えたときに、作家のくどうれいんさんが『氷柱の声』を書いたときのインタビューでの言葉を思い出しました。
この『氷柱の声』は、岩手県出身で被災者であるくどうれいんさんが震災を題材にした作品。
詳しい説明は省きますが(というか、この作品もぜひ読んでください、、!)、この本でもあるように被災者でも、震災で心に負ったキズの大小で葛藤するわけです。
(この作品では主人公の描いた絵が被災者の声としてメディアに取り上げられ広がっていくが、そこまで大きな被害を受けていない私が書いた作品がそんな象徴的なものにされていいのか、苦悩する。)
話が逸れましたが、とにかく思った以上にテーマが重く、物語自体はハッピーエンドでしたが何となく心の中でもやもやが残ってしまいました。
もちろん、こういった背景を抜きにすればすごくよかった作品でした。
新海誠の作品に慣れてきた。そして懐かしさを覚えてくる。
新海監督の作品を観たのは3作品目ですが、何となく作品慣れをしてきてしまった感があります。
どの作品も面白いんですし、作画も最高なんですが、何となく構図に慣れてきてしまったような……。
初めて『君の名は』を観たときに比べて感動がどんどん薄れていってるように感じます。
勘違いしないで欲しいですが、つまらないと言っているわけではないです。
期待値が高いからこその感想です。
いつも日本神話と社会情勢を上手にブレンドし、期待を裏切らない最高の作品を届けてくれます。
ただベースとなる部分が似ているというか、新海誠という人物が色濃く反映されている気がします。
それこそ先ほど言った、東京への憧れだったり、新海誠の描く女子高生像だったり、なんと言うかそこら辺の根底がどの作品でもすごく共通して感じるんですよね。
非常に言語化をするのが難しいです、この感覚。
だから映画を観終わった直後は、単純に“すごくよかった、感動した!”とはなりませんでした。ファンの皆様、すみません。
でも後々になっていろいろ消化してみて、気づきました。
僕は感動というよりも、この作品に懐かしさを覚え始めているなと。
『君の名は』(2016)『天気の子』(2019)『すずめの戸締り』(2022)と3年ごとに新作が出ていますが、僕はどこかで新海誠という人物が描き出す、世界観とストーリー、そのすべてを求めていると気づかされました。
新海誠という色が色濃く出てるからこそ2、3作目を観ていると、物語そのものの感動に加えて、全然違う世界のストーリーなのにどこか懐かしさを覚えます。
これが、ジャンルとしての新海誠のすばらしさなのかもしれません。
まとめ。
ということで今日観てきた、『すずめの戸締り』の感想を1時間ほどでさらっと書いてみました。
気になった方はぜひ映画館で観てみてください!
2022/12/8