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【閲覧注意!】『第9地区』がなかなかグロかったが、考えさせられる内容だった。

カイト

こんにちは、カイトです。

みなさん、SF映画を観るのは好きですか?

僕は基本的にジャンルレスで気になった作品をどんどん観るのですが、先日視聴した『第9地区』があまりにも衝撃過ぎて、SF映画にドはまりしてしまいそうな予感がしています。

ということで、この記事では映画『第9地区』に関して、視聴した感想を中心に書いていこうと思います。

【ネタバレなし】非現実的ながらも、どこかリアルティ―のある設定。

南アフリカ上空に現れた宇宙船。しかしエイリアンは襲撃に来たのではなく、宇宙船の故障で漂着しただけだった。その28年後、エイリアンと人間が暮らす共同居住区“第9地区”はスラムと化し…!?

『U-NEXT』より引用。

本作は主人公のヴィカスの周囲の人間の独白形式で進められていきます。

カイト

この独白形式が、この一見してありえないような設定を、本物らしくしていました。

エイリアンと共存することおよそ20年。もちろん、日常的に同じ環境でエイリアンと人間が共存しているわけではありません。エイリアンは隔離された第9地区という“難民キャンプ”で暮らしますが、もちろん秩序が保たれるわけがなく数もどんどん増えていき、さらにそこにはギャングなんかも住みつき、第9地区は完全にスラム化状態になります。

この状態を何とかすべく、超国家機関MNUはさらに隔離された地区である、第10地区へとエイリアンを移住させるように試みるというところから話は始まります。そのプロジェクトのトップに任命されたのが主人公のヴィカスです。

メモ

基本的にこのエイリアンたちは人間に対して、危害を加えることはありません。

とはいえ、自分だったら絶対にエイリアンたちと共存したくないですし、仕事とはいえ、彼らに接触するようなこともしたくないですね。

エイリアンが出てくるような映画は、SFとしてはよくあると思いますが、基本的にエイリアンと闘うわけではないというスタイルは斬新で面白かったです。

また、いつの時代も戦争を繰り返す我々人類ですが、共通の敵を前にした時、人種や国家の枠組みを超えて志を一つにするというのがこの映画を観て良くわかりました。

カイト

皮肉なものですね。。

そしてこの映画ですが、エイリアンの見た目が妙にリアルで正直少し気持ち悪いです。少々、グロテスクなシーンもあるため、そういうシーンが苦手な方は視聴を控えることをおススメします。

とここまで軽く魅力を書いていきましたが、正直この作品はネタバレをしないとこれ以上の感想が書けません。内容や、それぞれの人物の背景。そしてエイリアンと人々の行動やマインドのコントラストにこそ語るべき要素があるように感じました。

ここからはネタバレありの感想になるので、まだ観ていない人はここで読むのをストップしてください。

【ネタバレあり感想】非現実的なSF作品をベースに描かれる、生々しい人間の泥臭さ。

この映画を観終わって、最初に思ったことは、

『え、、人間ってこんなに醜い生き物だったのか。。』

ということでした。

それこそエイリアンの見た目が醜いので、より人間の内面の醜さが際立って感じました。

それくらいに内容的に、心にくるものがありました。

主人公のに対してももちろん同情はしていましたが、終盤にクリストファーを助けるシーンに入るまで、少し軽蔑心がありました。

このヴィカス、正直終盤まで好きにはなれませんでした。

もちろんヴィカスがエイリアンになりかけて、MNUの人々に利用されそうになるシーンは同情しました。第9地区に逃げ込み、エイリアンであるクリストファーと再会。そのクリストファーが件の黒い液体を持ってくれば、エイリアンから人間に戻すことが出来ると言ったとたんに態度を変えるあたり、小賢しいなあと思いました。

もちろん、ヴィカスを助けようとせずに、利用しようとしたMNUは問答不要にクズで、観ていて胸糞が悪かったです。

そしてその過程で、ヴィカスに辱めを与え追い込むあたり、本当に胸が痛かったです。そんな中でも、妻だけは自分の本当の話を信じてくれると願うヴィカス。そこら辺のやり取りはあまりに辛すぎて、観ているこちらも泣きそうになりました。

ただ、そんなヴィカスだからこそ、今辛い状況にあるヴィカスだからこそ、20年間不遇を強いられてきたエイリアンに対してもっと対等に、優しく接してほしかった。今まで虐げられていたはずのエイリアンの方がよっぽど人間らしい、理性的な心があるようにすら思いました。

ただ何より、この場に居合わせていない、いち視聴者であるで分際で、このヴィカスを軽蔑してしまう自分に嫌悪感を抱いてしまいました。

人間の醜さはより追い詰められたシチュエーションになればなるほど生まれるはずです。どう生き延びようか。どう出し抜いてやろうか。そんなふうにしてこの困難な状況を抜け出そうとします。たまにそういう時は潔く死ぬさと言った、美談を語る人もいますが、果たしてそうでしょうか。高みの見物でいざそういう状況になったら必死に生にしがみつくはずです。だからこそ、この必死に生にしがみつくヴィカスを、心のどこかで泥臭いと軽蔑してしまう自分が許せないのです。

そして、クリストファがヴィカスを戻すために3年後に戻ってくるという、エイリアンと人間との間で交わされた、バーバルで達成されるかもわからない条件を受け入れ、クリストファの帰還に全力でサポートし始めたヴィカスの姿には、美しさすら感じました。

異種との交流がもたらした、人間の本質。その妙を上手く描いた、名作だと思います。

【おまけ。】続編はあるのだろうか?

この映画は、続編があってもおかしくない終わり方でした。

3年後にクリストファが戻ってくるのか、そしてヴィカスは人間に戻れるのか、といった部分は非常に興味深いです。

実際、インターネット上でもそういった続編『第10地区(仮題)』の存在は取りざたされています。

ただ2023年現在は、『第10地区』は当分作られないと、監督のニール・ブロムカンプ監督が明言しているようです。

カイト

残念ですね…

ここまで辱めを受けたヴィカス。仮に人間に戻れたとして社会はどう受け入れるのか。ある意味でヴィカスは、人間とエイリアンのはざまの存在だったわけで、ヴィカスを社会として受け入れることはエイリアンを受け入れることと同等と言えると思います。なぜなら彼は人間のテクノロジーで人間に戻ったわけではなく、エイリアンの持つテクノロジーで人間で戻ったわけです。散々な扱いを受けてきたエイリアンだからこそ、ヴィカスを人間兵器として人間社会に送り返してくる可能性だってあるわけです。

そこら辺の葛藤をニール・ブロムカンプ監督がどう描くかが非常に楽しみだったので、これは残念でした。

ただ、この圧巻の世界観とストーリーを実現させたニール・ブロムカンプ監督の今後の動向には注目を集めていきたいです!

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