こんにちは、カイトです。
先日初めて、企業との合同研究をしている成果報告のために、東京にある共同研究先の企業とのミーティングに参加してきました。
今回のミーティングは自分と先輩1人、そして教授の3人で行きました。
この記事では、普段どういった感じで企業との合同研究をしているのか、またミーティングってどんな感じでやるの?といった部分に関して、自分の感想なんかも織り交ぜながら、まとめていきたいと思います。
メモ
もちろん細かい技術的な部分や詳細な話し合いの内容は書けませんが、その過程で行ったことを抽象度を上げて、ざっくりと書いていければいいなと思っています。
理系の院志望の方や、研究室ってどんなことをやっているんだろう?と感じている方の参考になれば幸いです。
今回、僕は参加しただけ。
企業とのミーティングに参加したと言いましたが、今回の僕は本当に参加しただけ具体的に何もしていません。
ミーテイング前に企業の方に挨拶をしただけで、内容に入ってからは一切言葉を発しませんでした。
このミーティングは10月の初旬にあったのですが、僕が研究を本格的に始めたのは院試が終わった後の、9月くらいからでした。
メモ
僕の所属している研究室は、院試が終わるまでは研究<院試勉強といった感じで、とにかく院に進学できるように勉強をしようというスタンスでした。
なので、B4(学部4年生)の4月に配属されてから院試終わりの8月までは、週に1回ずつあったゼミと報告会以外はなにもせずに、ひたすら院試勉強をしていました。
院試勉強中の話は下の記事でまとめているので、是非合わせて読んでみてください!
そういうわけでミーティング時には、まだ本格的に研究を始めて1ケ月も経っていませんでした。その間に行った研究も機械の動かし方や、先輩と一緒に数値を測定したりといった内容で、とてもじゃないですが、企業様にプレゼンをできるような状態ではなかったです。
ただ今回一緒に企業に行った先輩はM2(大学院2年生)で、先輩が卒業したらこの共同研究は僕が中心となって引き継がなければなりません。実際に僕もこのミーティングに際して、先輩と一緒に実験を行い、データの整理等は行いました。
ただ実験といっても先輩に言われたことをやるといった感じで、具体的になんでこの実験を行い、その数値がどういう意味があるのかということに関しては、あまり理解できていませんでした…。
ここら辺の背景や実験の意味に関しては、日々実験をしたり、先輩や教授の話を聞いていく中で、徐々にではありますが明瞭になってきているので、わからない部分はどんどん聞きながら、今後も実験を進めていきたいです。
ミーティングの雰囲気や話されていたこと。
今回のミーティングは前述の通り、僕は参加しただけで具体的には何もしていません。
今回僕たち大学側からは3人が参加したのに対して、企業側も3人の方が参加しました。
メモ
共同研究は、企業が作成した”試作品”を、僕たちが大学にある装置を用いて様々な数値を測定しつつ、その”試作品”が実用可能な程度のモノなのかという評価を行うものです。
僕は電気分野に所属しているのですが、もう少し専門的に言えば、その”試作品”が持つ効率を評価するという実験をしています。入力電力に対してどれだけ出力電力が得られるのかといったことを僕たちが大学で回路設計をして測定していました。
今回のミーティングは、僕たちの実験の成果を企業側に報告するというものでした。
まずは先輩が僕たちの実験成果をまとめたパワーポイントを、教授が細かい部分を補足しながら、発表しました。
この発表は、あまり研究の全容を把握できていなかった僕にとって非常わかりやすく、ためになるものでした。
その後、企業側の人たちの中で疑問に思った部分や改善して欲しい部分等を聞きながら、情報を補足したり、はたまた一緒にどうやって改善すべきかを考えながらミーティングは進んでいきました。
そんな感じで進んでいったわけですが、このミーティングでは、具体的な技術的な部分以上に、教授と企業陣のコミュニケーションが興味深く、新鮮で面白かったです。
ここからは、どういったことが僕にとって新鮮で面白かったのかを、書いていこうと思います。
企業と研究機関の違い。
この会議で一番興味深いなあと思ったのが、大学側と企業側で同じ研究でも研究に対するベクトルが違うんだなあという部分です。
もちろんこんなことは、表面的に考えればわかることです。大学がやる研究はビジネスではない一方で企業がやる研究は、ビジネスであり、すなわち利益が伴わなければなりません。
そういったボヤッとした企業と研究機関の違いに関するイメージに対して、このミーティングを通じて行われていた具体的な言葉のやり取りを聞いたことで、より解像度が上がりました。
例えば、研究成果1つを取ってみても、その技術をいつ社会に発表するのかというのが企業と研究機関では変わってきます。
研究機関はその研究成果そのものにフォーカスをして、いつ世に出すのか、学会発表するのかといった部分を考えると思います。
一方で企業は違います。企業は技術そのものにどれくらい需要があるのかを第一に考えます。(営利集団である企業なら当たり前のことですが…。)
だからこそ現状の技術にどれくらい利益があり、今社会に出すことで、どれくらいのリターンを得られるのかを考えます。
メモ
そこの部分の塩梅が難しいところです。
完璧を求めすぎて世に出すタイミングが遅れれば、競合他社にその技術を全て握られててしまい、大きなパイをつかみ損ねます。だからと言って中途半端な技術を提供しても、需要が少なかったり、クオリティーの低い商品は企業のブランド力の低下にもつながりかねません。
その会議中も、”先行者利益”という言葉が、ちょくちょく飛び交っていたのが印象的でした。
こういった、あえて言葉を選ぶとしたら、生々しいコミュニケーションなんかも聞けたのが面白かったです。
企業と研究機関をつなぐもの。
先ほどの話にもつながりますが、企業にとってブランドや知名度というのは、ビジネスをしていく上でも大切です。
こういった宣伝活動に関して、対顧客(B to C)への宣伝はイメージしやすいと思います。テレビやインターネット、YouTubeの広告や、街中や電車の中にある広告ポスター、スポーツチームのスポンサー活動などいたるところにあります。
一方で、対企業/研究機関(B to B)でのマッチングはどのように行われているのだろう?と思っていました。そこに関しても今回のミーティングは知見を深めるいい場になりました。
例えば学会発表で研究機関が共同研究先の企業名を掲載するのは、企業と研究機関を繋げるいい役目を果たします。大学の研究も無償で行っているわけはないので、資金調達が必要です。そんな中で学会などで自分の研究と似た企業を見つけ、共同研究を行い成果を出せば、その研究室への大学からの資金援助も増えますし、企業側も成果が出れば、商用化できます。
メモ
僕の中で学会は成果を発表する場という認識しかありませんでしたが、こういった一面もあるんだなというのには驚きました。
こういった側面を知れたのも、今回参加して良かったポイントです。
知らない(というか今までイメージの湧かなかった)職種の存在を知った。
また、企業と企業をつなぐビジネスがあることも知りました。
いわゆる専門商社と言われる業種ですね。
今回のミーティングでも、実用化に向けて今僕たちが一緒に行っている研究を次の段階へ持って行くために協力してくれる企業/研究機関を探しているという話が上がり、『この前先生が紹介して下さった企業さんを○○社さんからたまたま紹介されました』と共同研究先の企業の方が言っていました。
高校の同期が今年新卒で、専門商社に入社したと言っていましたが、具体的にこういった感じで企業をまわりながら営業しているんだなあということがわかりました。
また、今回のミーティングにはいませんでしたが、普段は企業コンサルの方もこのミーティングに参加しているそうです。
確かに僕たちは商品に対する技術的なアプローチしかできませんが、企業からしてみればその商品をいつどういった形で世に出すべきかということが大切ですし、そういう戦略に関してコンサルがアドバイスするのも頷けます。
今後自分が就職活動をしていく上で、こういった職種があるんだなということを知れたのも、非常に良い経験になりました。
【おまけ】東京で友達と一緒にご飯とかも食べれたよ。
今回のミーティングですが、時間は1.5hほどで終わりました。
遅めのお昼ご飯ということで、先輩とラーメンを食べました。
はじめての蒙古タンメン中本に行きましたが、結構辛かったです。
是非こんどは、カップラーメンも食べてみたいです!
その後新宿で高校の同期とご飯を食べ、最後にバイトの先輩と会ってから帰りました。
メモ
大学や研究室にもよると思いますが、基本的に研究室関連の行事(学会/企業との打ち合わせ等)に参加する場合は、大学側からの金銭的な手当てが出ます。
具体的には、学割を使った場合の行先への往復の交通費、宿泊が必要な場合は宿泊費(定額)、そしてご飯代(定額)がもらえます。
なので東京へは実質タダで行けました。今回何もしていない僕にとって、完全に旅行みたいになってしまいましたが、色々な学びを得れたと共に、友人にも会えて非常に有意義な一日になりました。
ただ次回参加する際は(おそらく)僕が発表する番です。これからより研究も本格化していくと思いますが、いい成果を出せるように頑張りたいです!