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【新たな発見!】『キリスト教入門』を読んだ感想。

カイト

こんにちは、カイトです。

この記事では、先日読んだ『キリスト教入門』(岩波ジュニア新書/著.山我哲雄)について、読んだ感想を軽く書いていこうと思います。

教養としての、キリスト教への理解が深まった。

この本を読み終えてから、基本的なキリスト教に対する理解が得られました

僕自身は、特定の宗教を信仰しているわけではなく、いわゆる無宗教ですが、改めて宗教の与える影響の大きさを感じました。

宗教は人々の心のよりどころにもなるため、いつの時代も国家に利用されたり、逆に国家を利用したり。

僕は高校時代に世界史を選択していたので、もちろんキリスト教に関する用語や出来事なんかは学んできました。

ただそれはあくまで、”用語”としての丸暗記で、その裏にある背景や意味に関して関連付けることはあまりできていませんでした。

カイト

高校時代、それこそ皇帝と教皇が時代や地域によって同じ文脈で登場する(統治者)ことがあったため、違いが何なのかよくわからず、世界史の教員に質問したのを思い出しました。

ただこの本を読み進めながら、高校時代の世界史の知識なんかとすり合わせていくことで、キリスト教とヨーロッパの歴史について少しは詳しくなれたかなと感じました。

またこの本を読むきっかけとして、2022年の夏に行ったヨーロッパ旅行の影響も大きかったように思います。

直にヨーロッパでの、教会を目にすることで、その成り立ちや歴史についてより知りたくなりました。

特にイタリアには長く滞在していて、多くのカトリックの教会を訪れたので、その背景は気になっていました。

また、旅行中に出会ったスペイン人も(おそらく)カトリック教徒で、サンティアゴ・デ・コンポステーラについて熱く語られたり、教会内で十字を切っていたり。

自分の身近にそういう環境がなかったため、いい意味で、宗教と隣り合わせの人々のモチベーションや、何を信仰しているんだろうなという気持ちはヒシヒシと持ち始めていました。

メモ

ちなみにこの本で学びましたが、十字の切り方はカトリックと正教会では違います。

カトリックでは、額→胸→左肩→右肩ですが、正教会では左右順番が逆です。

興味深いですね。

それから一年ほど経ちましたが、ようやくその時の感情を埋め合わせることができ、この本を通して思った以上に実りのあるものを得れたのでよかったです。

面白いなあって思った部分も軽く紹介

せっかくなので、少しだけ内容にも触れようと思います。

ここでは、読んでてなるほどなあとか、興味深いなあと思った部分を軽く紹介します。

ローマカトリックと東方正教会の違い

やはり個人的に一番面白いというか、興味深いなと思ったのはローマカトリックと東方正教会の違いです。

二つとも同じ起源を持ちながら、ローマ帝国の東西分裂(395年)を期に袂を分かちます。

そしてその後、お互いに破門し合う(1054年)ことで、それぞれが独自の発展を遂げてきました。

ローマカトリック教会では早々に西ローマ帝国が滅亡してしまったことで、教皇は特定の国を治めていませんが、それぞれの国の皇帝との関係を築いていきます。

教皇が皇帝に戴冠するという意味で、基本的に力関係は教皇>皇帝です。

一方の東ローマ帝国(ビザンツ帝国)は、1453年に崩壊するまで長きにわかって反映していて、もちろんその皇帝の権限も絶大です。

東方正教会は、各協会の緩やかな共同体というイメージで、ローマカトリック教会のような絶対的な頂点に君臨する協会はなく、それぞれの教会が対等の関係にあります。

ビザンツ帝国時代は、コンスタンティノープル、シリアのアンティオキア、エルサレム、アレキサンドリアの4つの総主教がそれぞれ対等に存在していました。

こういった教会のトップに君臨するのが、ビザンツ帝国の皇帝であったのです。

こういった意味で、東方正教会では、皇帝>教皇といった明確な力関係がありました。

三位一体説の意味が分かった。

世界史の授業で三位一体説についてコンスタンティノープルの公会議で議論されていたという知識はありました。

ただそのときから、三位一体説って何だろう?と思っていました。

その意味がこの本でわかりました。

前提としてキリスト教はユダヤ教をベースに発展しているわけですが、その教義として一神教であるというものがあります。

この神は1人だけというのが、後にキリスト教を体系化する上でネックになるわけです。

「父」なる神(この世にイエスを啓示した神)と「子」となる神、そして「精霊」としての神(人間に宿り、啓示を与える神)。

この3つの神が存在してしまい、これは一神教に反してしまうというわけです。

ここで、構築された概念が三位一体説です。

名の通り、この3つの神は本質は同じだが形態が違うものだと解釈することでこの問題を解決するわけです。

ちなみに初期のキリスト教では、教義を体系化するにあたって様々なパラドックスに直面していました。

メモ

イエスは神なのか?人間なのか?

イエスを生んだマリアは神なのか?

そして、そのたびに公会議を開き、有識者の間で議論を交わして納得のいく結論を出しながらキリスト教を体系化させていきました。

ここからは無宗教の僕の感想です。

卵が先か、鶏が先かじゃないですけど、神さまがいるとして、世界は神が作ったのか。それとももともとあった世界に神が降臨したのか。

こう考えたとき、やっぱり神を信じるものならば神が世界を作り給うたと考えると思います。

メモ

古事記なんかはそうですよね。何もない世界にいたイザナミとイザナギが国を下界に産んできました…。

そして、全知全能の神が作る世界は、実態はもちろん、概念的にも何一つ矛盾のない、完璧な世界のはずです。

のはずが、唯一完全の”神”という概念を、完全なものにするために、有史以来の人々が体系立てて教義をくみ上げていく光景は、なんだか本末転倒じゃないか…?とは感じました。

カイト

まあこうやって、本書を読み進めながらあれやこれやと考えるのも、なかなか楽しかったです。

プロテスタントだって一つじゃない。

これも、もちろん事実として知っていましたが、本書を読んで改めて実例をもって再認識しました。

特に、ドイツやイギリスでのカトリックとプロテスタントのせめぎ合い、そして歴史との混ざり合いは読んでて楽しかったです。

また、プロテスタントはあくまでカトリックに対して”抗議する”という意味での呼称で、抗議するポイントによって、様々な派閥があります。

本書では様々なプロテスタントの宗派が取り上げられ、それぞれがカトリックのある部分に対して異議を唱えて、独自に発展していったということを実例をもって知れたのは良かったです。

まとめ。

ということで、半ば自分の読書記録的な記事にはなりましたが、今回は『キリスト教入門』を読んだ感想と思ったこと、などをまとめてきました。

岩波ジュニア新書から出ているだけあって、非常にわかりやすく、だからと言って説明を省いているもなく、順を追って丁寧に解説されており、キリスト教を知りたいという人にはぴったりの一冊になっています。

気になる方はぜひ、手に取ってみてください!

 

 

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