読書

『コンビニ人間』のストーリーと感想

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こんにちは、カイトです。

今回は、村田沙耶香さんの書いた『コンビニ人間』の大まかなストーリーと感想について書いていこうと思います。

僕自身がコンビニでアルバイトをしていることから、前から気になっていた本でした。

「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて……。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。解説・中村文則

文集文庫『コンビニ人間』の背表紙より

この本は、大学入学後にアルバイトとして始めたコンビニに18年間、アルバイトとして働いている、古倉恵子の物語です。

この本は160ページ弱の量で比較的少ないうえ、コンビニという身近なテーマを扱っていることから数時間で簡単に読み切ってしまいました。

主人公の古倉恵子の目線から語られるこの本ですが、彼女から見える世界は普通の人から見える世界とはかなりずれています。

郊外の住宅街で育った私は、普通の家に生まれ、普通に愛されて育った。けれど、私は少し奇妙がられる子供だった。

引用元:『コンビニ人間』pp11-12

彼女は小さいころから常識をわきまえていないというか、普通そんなことする!?みたいなことを平気でする子でした。

例えば

  • 死んでいる小鳥を見て、「お父さん、焼き鳥好きだから、今日、これを焼いて食べよう」と言う。
  • クラスの男子が取っ組み合いのけんかをしていて、誰かが「止めて!」と泣きながら叫ぶのを見て、バケツで男子を殴り物理的に止めてしまった。

などなど、普通ではないことを当たり前だと思ってやってしまいます。

彼女は悪気があってこういったことをしているのではなく、こうすることが正しいことだと思ってやっているのです。

良かれと思ってやっているのに周りの人はわかってくれない。

そんな彼女は自分の本心を隠して生きるようになりました。

父も母も、困惑はしていたものの、私を可愛がってくれた。父と母が悲しんだり、いろいろな人に謝ったりしなくてはいけないのは本意ではないので、私は家の外では極力口を利かないことにした。皆の真似をするか、誰かの指示に従うか、どちらかにして、自ら動くのは一切やめた。

引用元:『コンビニ人間』pp16

そんな彼女が唯一、現実世界の住人になれている、と感じられるとき。

それがコンビニの店員でいるときなのです。

朝になれば、また私は店員になり、世界の歯車になれる。そのことだけが、私を正常な人間にしているのだった。

引用元:『コンビニ人間』pp27

この本を通じて一貫して伝えられているメッセージ、それは普通って何なんだっていうことだと思います。

彼女自身も普通でいることを求めながらも、普通でいることの難しさを感じています。

あ、私、異物になっている。ぼんやりと私は思った。

店を辞めさせられた白羽さんの姿が浮かぶ。次は私の番なのだろうか。

正常な世界はとても強引だから、異物は静かに削除される。まっとうでない人間は処理されていく。

そうか、だから治らなくてはならないんだ。治らないと、正常な人達に削除されるんだ。

家族がどうしてあんなに私を治そうとしてくれているのか、やっとわかったような気がした。

引用元:『コンビニ人間』pp84

普通でいるということがいかに難しいか…。普通の基準って明確に決まっているわけではありません。でも何となく誰もが同じような基準を持っていて、その基準からはみ出たようなことをする人を見て、「あいつは普通じゃない、やばい奴だ」というレッテルを貼り付けるのです。僕自身もこの主人公ほどぶっ飛んではいませんが、たまに「こんなことして、周りの人に『普通じゃない』って思われたりしないかな」って考えちゃうことがあります。そうやって常に周りの目を気にして、生きていくのってなかなか神経を使って疲れますよね…。

そんな中、婚活目的でコンビニのバイトに来た白羽と彼女は同棲することになります。

というのも、彼女は“36歳の独身で恋愛経験もゼロのコンビニのアルバイトで生計を立てている女性”という自分の肩書が社会的にだいぶ変わっていることから、たびたび周りの人から結婚くらいはした方がいいと進言を受けていました。

なのでこういった煩わしさから逃れるために彼女は白羽と同棲することにしたのです。

この白羽という人物はだいぶひねくれた考え方の人物です。
ただ、「この世界は異物を認めない」といった発言をするなど、彼女にとって理解できる一面も持ち合わせているのでした。

そして白羽に言われるがままに普通になるためにコンビニのバイトを辞め、一般就職をしようとします。

そして面接当日に二週間ぶりにコンビニに立ち寄ったときに彼女は気づきます。

「気が付いたんです。私は人間である以上にコンビニ店員なんです。人間としていびつでも、たとえ食べて行けなくてのたれ死んでも、そのことから逃れられないんです。私の細胞全部が、コンビニのために存在しているのです。」

引用元:『コンビニ人間』pp159

一見狂気じみたこの作品ですが、芥川賞を受賞しさらに世界約20か国語にも翻訳されていること自体が、多くの人がこの本に共感できる部分が何かしらあるということの証左だと思います。

それくらい普通でいること、周りに同調することに悩んでいることが多いということではないでしょうか。

事実、『コンビニ人間』の読書レビューサイトを見ていても普通でいることの大変さを絡めた感想が多く見られました。

僕がこの本で一番象徴的だなと思ったのは、彼女が普通になるために懸命に友人やバイトの同僚の口調や話し方、持ち物やブランドを真似ているというところです。

そこには自分らしさというのが存在していません。

普通になるために必死になって自分を失う

なんてことは現代の社会でも大いにあると思います。

  • 変な奴だと思われないために
  • ○○に好かれるために
  • 出世するために

などなど、自分の本心とはかけ離れた、周りによくみられるための八方美人的な自分を作り出している人は多いと思います。

これが良いことなのか悪いことなのかとかそういう次元の問題ではないと思いますが、

僕はこの本を読んで、自分がどう振る舞う(みんなに迎合して生きるのか/ありのまま生きるのか)にしても自分自身を見失わないように、自分自身の核となるところは持っておきたいなと思いました。

2020/9/29

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