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『2025年を制覇する破壊的企業』

こんにちは、カイトです。

今回は山本康正さんが書かれた、『2025年を制覇する破壊的企業』という本について紹介していきたいと思います。

5年後の未来はこの11社が決定づける

本書は、Google、Amazon、Facebook、Apple、マイクロソフト、ネットフリックス、テスラ、クラウドストライク、ロビンフッド、インポッシブル・フーズ、ショッピファイという2025年の世界に大きな影響力を持つ世界最先端11社を分析することで、5年後を読み解く未来予想書である。各社、コロナでテクノロジーの開発を加速させている。2025年の世界は劇的な進化を遂げているだろう。

『2025年を制覇する破壊的企業』背表紙の紹介文より引用

本書は大きく分けて3部構成になっています。

はじめに『5年後の社会はこの11社が決定づける』

第1部『2025年はどうなっているか?』

第2部『2025年を生き抜く処方箋』

まずはじめにで筆者の思い描く、上で挙げた11社が中心となった2025年の未来予想物語が展開されています。

僕はこの最初のストーリーでグッとこの本に心を掴まれちゃいました。
本屋でこの部分を軽く読んだだけで、即購入してしまいました笑

このストーリはかなり近未来的で、本当にあと5年でこんな世界になるのかな?って思えるくらいスケールの大きい物語になっています。

でも技術革新が今まで通り、順調に進んでいけばあながち嘘ではないのだと思います。

ここで着目するべきことはこの筆者の思い描く未来予想では、くまなく前にあげた11社が出てくるという点です。

GAFAとマイクロソフトが斡旋している未来というのはみなさんもだいぶ想像がつくと思いますが、この本では特にテスラの発展ぶりがだいぶダイナミックに描かれています。

それくらいテスラっていうのは、ある意味ぶっ飛んだ企業なんだと思います。詳しくは後で書こうと思います。

そして本編は、第1部と第2部に分かれていて、第1部では『2025年はどうなっているのか』というテーマでそれぞれ11社が来るべき2025年に向けてどういう開発をし、どういうプランを立てているのか、そしてその変化によって激変するであろう業種についても紹介されています。

そのうえで、第2部では『2025年を生き抜く処方箋』ということで5年後に破壊される企業や逆に台頭する企業、そしてそういった未来を良く抜くヒントが書かれています。

今回はそんな本書について、読んでいて特に驚いた箇所や気になった企業、システムについて紹介していけたらと思います。

ネットフリックスの衝撃

2025年の未来では、その最適化はさらに高まり、視聴中の巻き戻しや、一時停止の行動もデータ化してどのシーンが特に反応が良かったかを人工知能の画像解析を通じて、たとえばどの俳優のシーンが良かったのかなどをデータ化することができます。

さらに発展型だと視聴者一人ひとりによりエンディングはもちろん、シナリオが異なる動画が配信されることもできるでしょう。

引用元:『2025年を制覇する破壊的企業』pp64

どういうことかというと、同じドラマでも見る人の好みに合わせて、ストーリーが変わってくるということです。

今まで当たり前だった、同じ結末のストーリーを見るという常識が変わるかもしれないのです。

ドラマを見終わった後に、「どこがおもしろかったー?」という感想が今では当たり前のように繰り広げられると思いますが、こういった未来がもし実現したら、「どういった結末だった?」というような感想が日常的に繰り広げられるということです。

これが良いのか悪いかは別にして、そういった計画をも考えているネットフリックスの戦略には驚かされます。

テスラ

今ではだいぶ有名になってきたテスラですが、このテスラのさらなる躍進というのが今後の未来に大きな影響を及ぼすことは間違いないでしょう。

テスラというと、電気自動車を販売している会社という認識の人が多いと思います。

しかし本質的には違っていて、テスラは「環境問題の解決」を掲げている企業で、電気自動車はあくまでその手段にすぎません。

電気自動車はあくまで手段であり、テスラ、正確には代表であるマスク氏が掲げているミッションは、エネルギー問題、大気汚染の解決や地球温暖化の防止など、環境問題の解決だからです。…

…ビジネスの観点で電気自動車を販売している他の自動車メーカーとは、そもそも根本の考えが違っているのです。

引用元:『2025年を制覇する破壊的企業』pp74

そして今は一昔前の株主がいかに喜ぶかというのを重視した株主至上主義的考えから、株主に対する配当だけでなく、環境・社会・企業統治を重視して投資する風潮(いわゆるESG投資)が主流になりつつあります。

そういった環境もあってテスラの時価総額は大きく跳ね上がっています。

また自動運転に対する取り組みと成果も、他の自動車メーカーとは大きく異なります。

そもそも、普通の自動車メーカーは「車両にコンピューターを載せる」という発想で開発に取り組んでいます。

自動車ありきの自動車メーカーが、自動車の延長として自動運転を開発しているのは当たり前ですよね。

一方でテスラは違います。

コンピューターに車両をつける」という感覚で自動運転の開発を進めているのです。

コンピューターありきの車両だからこそテスラの車はソフトウェアに優れているのです。

本書で紹介された、注目の企業

ここではあまり馴染みがないかもしれないけれども、本書で紹介されていた注目の企業について紹介していきたいと思います。

クラウドストライク

これは僕もこの本を読んで初めて知った企業です。

どういう企業かを簡単に説明しようと思います。

今までのインターネット環境におけるセキュリティーの主流は、VPNやアンチウイルスソフトといった(いわゆるファイヤーウォール)、ハードを守るといった形でした。

だから基本的に会社や学校といった場所でしかセキュリティーが効かず、昨今のコロナ禍においても、自宅から企業のシステムに入れないとの理由からやむおえず出社していたという人もいると思います。

しかし現代の、あらゆるものがインタネットにつながる、IoTの時代においてこういった閉鎖的な空間のみ発揮するセキュリティーのシステムというのは最善とは言えません。

そんな中クラウドストライクが考え出したシステムは、元となるクラウドでセキュリティーの担保をするというものです。

クラウドストライクの考え方はこうです。従来のアンチウイルスソフトはそもそも、今のようにインターネットに常につながっていることを前提に開発されたセキュリティーツールではない。一方で、今のデバイスはそのほとんどがネットワーク、クラウドにつながっている。だったらそのクラウドで、セキュリティーを担保しようと。

引用元:『2025年を制覇する破壊的企業』pp92

要するにおのおのの端末を保護するのではなく、システムそのものを保護するというものです。
これでいつどこでどの端末から使っても安心して使えるというわけです。

b8ta

b8ta(ベータ)もまた、新しいビジネスモデルの良い例です。

みなさんはオンラインストアを使いますか?

もちろん人によるとは思いますが、少なくともここ10年で確実にオンラインストアを利用する人が増え、実際に販売店に足を運ばないで購入している人が増えていることは確かです。

ところがeコマースが広まったことで、実店舗で商品を購入する人は激減しました。その結果、実店舗では商品の手触りや動作を確認。その上で、ネットで商品を買う人が増えました。つまりこのままでは、実店舗は必要とされなくなります。

引用元:『2025年を制覇する破壊的企業』pp242

そんな時代の流れから、実店舗に対する需要が確実に減っていくと思われます。

そんな中、b8taの行った取り組みは以下の通りです。

一見するとベータは、おしゃれなデバイスを置いている、アップルストアのような外観です。ユニークなのは、置かれているデバイスをその場で販売するのがメインではないということです。…

…置かれているのは、社名からもわかるように大規模店舗に置かれているような完成されたデバイスばかりではありません。エッジがたっていたり、大化けして売れそうな、話題となるような商品を意図的にセレクトしておいています。

そしてその手のデバイスを好むユーザーに見てもらい、触ってもらい、感想を述べてもらい、反応を開発企業にフィードバックします。もちろん新商品が完成した際の予約も受け付けます。

企業としては、将来的な顧客になるとの宣伝効果もありますし、より良い製品にブラッシュアップされる場でもありますから、ベータにお金を払い、製品を置いてもらう。そのようなビジネスモデルです。

引用元:『2025年を制覇する破壊的企業』pp241-242

要するに、実店舗を「商品を販売する空間」から「企業と消費者をリアルにつなげる空間」にしたのです。そうすることで企業は消費者のリアルを知ることができ、消費者は企業の最先端を知るために店舗に足を運ぶようになります。そういう場を提供する企業として、b8taは存在しています。

このb8taの取り組みは小売り事業の常識を変えるかもしれません。

5年後に必要な5つのスキル

本書では最後に筆者が5年後に必要な5つのスキルを紹介しています。

英語

ファイナンス

データサイエンス

プログラミング

ビジネスモデルが読める

どれも最近メディアなどでよく聞くワードばかりです。しっかりこういったことを意識して勉強していきたいです。

感想

これからの時代は、旧来のステレオタイプにこだわらない、斬新で革新的なアイデアを生み出す企業が生き抜く時代なのだと感じました。

だからこそGAFAを中心とした、メガ企業は自分の本業にとらわれずに様々な分野に挑戦しています。

もうひと昔までのような、“ハード”と“ソフト”といった括りすらも意味をなさないかもしれません。

そしてそういった企業は可能性のある企業を小さいうちから次々に吸収し大きくなっています。

GoogleのYouTubeだってFacebookのInstagramだってもとは小さな企業だったのをGoogleやFacebookが目をつけて、今や世界的なサービスに発展しています。

数年後のメガトレンドを見逃さない、確かな目を養うことがこれから生きていくうえで大切な要素のひとつだと感じました。

2020/12/8

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